そもそも何が原因だったのか?杭打ちデータ偽装問題

こんばんは、はっちです^^♪

ふーん、と思ってニュースを見ていた旭化成建材の杭打ちのデータ偽装問題。

上っ面だけ聞いていると、

杭は打ったけど、杭なんて見えないし適当に打っとけばわからんよ~。

データ?大丈夫大丈夫。

そんなの適当につけておけばいいって。

 

という程度に勝手に思っていましたが。

事態の詳細をわかりやすく教えていただくことがあり、それに自分の考えを踏まえながら記事にしました。

素人考えなので解釈が間違っている可能性もありますが、ご容赦いただき、間違いがありましたらご指摘ただけると嬉しいです。

杭のデータ偽装って何が問題なのか?

昨今の阪神大震災や、東関東大震災、中越沖地震など、大きな地震がに伴い、耐震性能、制振性能など地震に対する対策がなされてきました。

 

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※写真は今回の記事とは関係ありません。(^^;)

 

住宅メーカーでは耐震性能3(震度6強~7の地震においても倒壊しない性能の1.5倍の耐震性能)を謳い、安全性をアピールしています。

もちろん、家自身が頑丈なのは当然なのですが、それを支える地面も同等以上の耐震性能を持っていないといけません。

え?地面ってものすごく硬いよ?

と思うかもしれませんが、地震のような地球の表面が揺らされるような大きなエネルギーの前では、軟弱地盤は海に浮いているようなものです。

当然、波(地震)がくれば、揺らされ、傾いてしまいまう可能性があります。

そうなってしまっては家はもう住むことが出来ません。

もう一度波が来れば、倒壊してしまうかもしれません。

 

ですので、海底に届くような杭を打って、しっかりと動かないようにしないと行けないんです。

今回の問題は、その杭がしっかり海底(硬い地盤)に届いているかどうか。

その「届いている」というデータが偽装されていたということのようです。

杭のデータって何?

地面に杭を打つためには、その杭の長さ分の穴を地面に掘らなければいけません。

その穴を掘るために、ドリルのおばけのようなものを使うのですが、

ドリルが硬い地盤にさしかかると、ドリルにかかる抵抗が増え、ドリルを回すために使用している電気の量が変化します。

その電流値の変化を見て、硬い地盤にたどり着いたことがわかります。

それが、今回の穴がしっかりと硬い地盤まで穴を掘ることが出来たことのデータとなります。

 

そして、掘った穴の中に鉄筋を組んでいれて、セメントを流しこむことで、硬い地盤に頑丈な杭を作ることが出来ます。

ですが、今回その「ドリルが硬い地盤にたどり着いた」というデータが偽装されていたようです。

ということは、

杭が硬い地盤に辿り着いているかどうかわからない。

ということです。

杭のデータを偽装することのメリットは?

これだけ聞くと、穴掘りの手間を省きたかった。

というような感じを受けますが、それだけではないようです。

確かに大きな建物であれば、その杭の深さは数十mにもなります。

穴を掘るためには、m単位でお金が変わってくると聞いているので、掘るコストの削減は図れます。

ですが、たかだか数mの削減で倒壊を含めた偽装のリスクを負うのは、あまりにもリスクが大きすぎます。

もちろん、事前調査で、どのぐらいに硬い地盤があるかは分かっているはずなので、それ相応の費用は施主から頂いていますし、

今回のように、公にされてしまった時の損害は計り知れません。

じゃあ、なぜ?

ということです。

 

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本当に事前調査で硬い地盤の位置がわかっている!?

確かに事前調査で試験的に穴を掘り、地盤の位置を確認しています。

ただ、それは、建築予定地の主要な数カ所~十数カ所を行うだけであり、大きなマンションのような建物の場合、

実際に杭を打つ本数は数百本にもなります。

杭を打つ予定の場所「全て」を事前に確認しているわけではないため、実際にそこに硬い地盤があるかどうかは、掘ってみないとわかりません。

その昔、そこは地面であったが、洪水、噴火などの理由で別の土が堆積し、現在はその上に建物が建っているのかもしれません。

当然その地面はデコボコであり、川があった場所などは数mの地盤の誤差がでてきていてもおかしくはないと思います。

もう少し掘れば良かったのに。どうして偽装までしたのか?

実は杭打ちの方法は他にありまして、先ほど紹介した穴を掘って、鉄筋を組んで、セメントを流し込む作り方を現場杭と言いますが、

現在主流なのは、工場で予め杭を作って持ってくる、「既製杭」という工法が多いようです。

なんだか工場で作ってくる辺り、一条工務店やセキスイハイムのようですね。

 

やはり現場で鉄筋を溶接したり、セメントを流しこんだりすると、どうしても均一な品質になりません。

鉄筋の本数、組み方、セメントの強度など、その杭毎に管理しなければいけないことがたくさんあります。

一方で工場で作ってきた杭であれば、同様な工程で作られた均一な品質の杭が出来上がり、

試験についても、同様に作られた杭からテストピースを取り出して強度を測ることで、全ての杭において期待通りの強度の杭であることが「書面」で確認することが出来ます。

現場の管理としても非常に楽ですね。

 

デメリットとして、

杭は一定の長さの完成状態で持ち込まれるため、長さが決まってしまっている。ということです。

先ほどの現場杭打ちと違い、長さの調節ができなく、硬い地盤にたどり着く前に、予定していた杭の長さに達してしまう可能性もあります。

じゃぁ、代わりにもう少し長い杭を打てばいいのですが、そこには工期という大きな壁に当たることになります。

工場で作られてきた杭は、当然すぐに作成することは出来なく、実際には一ヶ月程度かかると言われています。

今回の杭打ちの基礎工事は、ここができないと建物が作れないため、杭打ちの遅れはそのまま全体の遅れにつながります。

工期の遅れは、施主側への負担にもなりますし、そのまま作業員の確保、賃金の増加につながります。

例えばその現場で、100人働いていて一日に1万円支払うことになっていれば、一日の工期の遅れが100万円です。

一ヶ月遅れることで、3000万円ものコストがかかってしまいます。

その他にも、予定していた他の作業に対しての遅延説明、弊害、それらが全て、現場を管理している人の手にのしかかります。

工期の遅れは現場管理側としては、できるだけ避けたいことなんです。

 

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だから、データを偽装した?

自分が考えるには、硬い地盤まで杭が到達しなかったからデータを偽装した。

というわけではなく、

データの偽装が常態化していたのではないかと思っています。

旭化成は、日本有数の材料メーカーです。そして旭化成建材は、その名の通り建築材料を生産し販売しています。

旭化成としては、自社で研究開発した商品を売りたい。

質の良い杭を現場に提供したいという思いがあり、旭化成建材としては、工場で生産された杭を使うことが当然のことと思います。

そうしてしまうと、そもそも「硬い地盤に到達したデータ」というものがそもそも不要になってしまうのではないか。

どのみち杭の長さは決まっているので、その長さ分しか打てないからですよね。

そういうことが常態化し、杭のデータはコピペでいい。

というようなデータの偽装が行われ続けていたのではないかと思います。

杭が届いているかどうかはわからないが、データは偽装されていた。

今回の旭化成建材のデータ偽装問題は、大きな問題となりました。

発覚したマンションについては、本当に杭の長さがどうなのかわかりませんが、

杭打ちした時のデータが全て偽装されたものだった。

ということが問題です。

 

おそらく施工された杭には、ある程度余長が見込まれていて、実際に硬い地盤まで届いていない杭というのはごく少数なのではないかと思います。

ただ悪い見方をすれば、コスト削減のために数本の杭が短いものになっていたりする可能性も秘めています。

全く見えない杭の状態。

今回はまだ旭化成建材のみを調査対象として国は動いているようですが、もしかしたら、他の会社にも波及することがあるかもしれないですね。

一度施工して完成してしまうと見えなくなってしまう杭ですが、その名の通り縁の下の力持ちです。

しっかりとした対応、そして今後の施工についても納得するような監理をしていただきたいと思います。

 

最後に。

今回この情報を教えていただきました、ゼネコン担当者様、その他の技術者の方、ありがとうございました。

ほんの立ち話でしたが、素人の自分の頭でもわかるぐらい非常にわかりやすく説明していただきまして本当に感謝です。

時々思いますが、知らず知らずのうちに、ニュースの言葉のまま受け止めてしまうことが結構あるように思います。

何事にも自分で考えて、疑問を持って、興味を持って見ないと、本当のところは分からないかもしれないですね。

それでは。

コメント

  1. とり より:

    こんにちは、とりです(・∀・)

    ん~なるほど。
    普通の一戸建てなら、事前の地盤調査だけで杭の長さを決められるけれど、マンションのような建物になると、事前の地盤調査だけでなく、実際に杭を打つ時に、1つ1つデータを取りながら打っていくということなのでしょうか?

    もし持ってきた杭の長さが足りなかったらどうするとか、足りなかった場合を考慮した工期や予算も考えとかないといけなかったということですかねぇ。

    でもそしたら、予算が膨れあがっちゃいますもんね。
    担当者も「長さが足りなかったのでやり直します」とは言えないか…

    それってきっと、業界全体の問題ですよねΣ(゚д゚;)
    見えないだけに怖いですね。。。

    • はっち はっち より:

      とりさんへ

      コメントありがとうございます^^
      そうなんです、一つ一つデータを取って、それぞれの杭が硬い地盤に達しているかを確認しなければいけないのですが、
      そこを怠って、「届いている」データを偽装したようです。

      杭が足りなくても、足りませでした、やり直します。
      が、許されない状態が問題ですよね。

      実際にどれだけのところで、どれだけの問題があるのか見えてないですよね。

      自分の職場にも担当者が何人か来て、建築データを調べて行っています^^;
      かなり大変そうで、波及した時に備えているようです^^;